「自作ゲーム大運動会」でScratchの先にある世界を意識する

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もうひとつのe-SPORTSがここに


作る・遊ぶ・飲む(?)のトライアスロンこと、自作ゲーム大運動会。2016年6月開催の「えっ私が!? 自作ゲーム大運動会! 春の陣」で、3度目の参加となりました。

簡単なレギュレーションに沿って作られた自作ゲームを持ち寄り、それを競技種目として、みんなでチーム対抗形式でプレイ……という主旨の、このイベント。かつては、屋外で本当に運動していたそうです。

主催者は、同人ゲームサークル「あるふぁ~秘密基地」の、小泉大輔氏(以下、D.K氏)。現在は、元ZUNTATAの小塩広和氏もサウンド提供してしまうほどガチな横スクロール弾幕シューティング『ローリングガンナー』を制作中です。

参加者も、ほとんどが、普段から仕事や趣味でプログラミングに関わっている人々。イベント告知サイトでは「しょぼいゲームでもいいからねー」みたいなノリを出しておきながら、いざ行ってみるとスノッブな同業種交流会だった……ということはなく、(自作)ゲームがつなぐ、ゆるくもシビアな関係を満喫できる空間です。

会場となったJR西日暮里駅そばの喫茶店「フィレンツェ」のおおらかな営業形態が、在りし日の駄菓子屋ゲーセン的なムードを助長している面もあります。

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今回のお題は、イベントの原点回帰ともいえる「運動会」。必ずしも、お題に沿ったゲーム内容にする必要はないのですが、何を作ろうかと考える際のとっかかりになります。

また、このイベントに持ち寄られるゲームには、”D言語”というプログラミング言語のマスコットキャラクター・D言語くんが登場する作品が非常に多い、という特徴があります。

かわいいから、使い勝手がいいから……など、重宝される理由はさまざまあるようです。正直、”D言語くんクラスタ”に属していないとピンとこない部分もあるのですが、ゲーム画面内で何かとジタバタしている(させられている)D言語くんがかわいいのは、たしかです。

20数人にもてあそばれたゲームたち


■個人的にグッときたもの

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▲『玉入れ』 (作者/D.K氏)  白組の刺客として、紅組のお手玉を狙撃し続ける、マウス操作の射撃ゲーム。スコアが順調に加算されていくと、紅組の男の子がかわいそうになってくる。お手玉に紛れて出現する高得点キャラ・D言語くん(赤色)を確実にスナイプすることがポイント。
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▲『COOL SCRAMBLE Firenze Defending Force』 (作者/小松菜屋氏)  飛来するUFOを、画面下部両端から発射されるミサイルで撃墜するシューティングゲーム。マウスの左右ボタンによる操作のおもしろさと、コンボスコアを調節してハイスコアチャンスを呼び込むゲーム性が見事。ゲーム終了(タイムアップ)時には、エネルギーを充填し終えたフィレンツェ(店舗)が、敵を一掃する特大レーザーを発射する演出も。
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▲『D言語くんの輪』 (作者/gobori氏)  D言語くんのキャラクター性(造形)を活かした、3D輪投げゲーム。棒およびその台座に乗っているD言語くんの数でスコアが決まるが、ヘタにぶつけるとバランスを崩したD言語くんが落ちてしまい、そのぶんスコアがマイナスされる。「スコアが沈着する」という、ルール説明時の作者の表現が新鮮だった。
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▲『FLAPPY SHOOTER』 (作者/kenmo氏)  おなじみのスマホゲーム『FLAPPY BIRD』と、トレジャー開発の人気シューティング『斑鳩』を足しちゃったゲーム。自機を画面上下端に消えていかないよう制御しながら、同色(赤または青)の敵弾を吸収し、それを放出して攻撃する。競技用に割り当てられた一部のノートPCでは著しい処理落ちが発生し、そのマシンを使っていたチームはぶっちぎりのスコアを叩き出していた。

■皆の解析・攻略魂を揺さぶったもの

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▲『組体操』 (作者/hiz氏)  安全面の問題から、運動会・体育祭での禁止化が進む組体操の、D言語くんバージョン。D言語くんが足場から転げ落ちた時点での、画面上に存在するD言語くんの数によって、スコアと技名が表示される。D言語くんの積み上がり方を見極めてから慎重に落とす、転がり始めたD言語くんの上に新たなD言語くんを投下してバウンドを吸収……といったテクが次々と開発され、最終的には20体まで積み上げる強者も。
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▲『メモリ間違い探し』 (作者/D.K氏)  上下に表示された、ダンプリスト風の文字列の中から、違っている箇所を探し出す。私と同チームの小松菜屋氏が、チームメンバーに片方の文字列を読んでもらう「べーマガ掲載プログラムを入力する兄弟作戦(適当に命名)」を提案するも、やはり同チームのめんたろ氏は、競技用のノートPCを縦持ちにし、ステレオグラムの交差法の要領で両リストを眺め、違和感のある場所を見つけだす……という驚天動地の攻略法を実践。その結果、他チームを圧倒的に引き離すスコアを獲得した。本作を開発したD.K氏は、おおいに悔しがっていた。
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▲『パンくいふくろとびきょうそう』 (作者/BLASTERBURN氏)  2種類のジャンプを使いわけて、パンをとり、ドーナツをよけながらゴールに向かう、横スクロールアクション。タイトなレベルデザインに皆が四苦八苦する一方で、「たまに発動するスーパージャンプをどうやったら出せるか?」の解析が、すごい勢いで始まった。プログラム上の理屈はよくわからなかったが、要するに、2つのジャンプボタンを1フレームずらして連続押しすると、発動するようになっているらしい。その後、開発されまくったスーパージャンプ技によって、はるか上空にあったテスト用ステージが発見されるなどの”ウラ技祭り”に、会場が一体となって盛り上がった。全競技終了後には、D.K氏が独断で決めるベストゲーム賞に選出された。

■自作ゲーム大運動会2016春・ゲーム一覧

作品名作者(敬称略)開発環境
パールの100m走NRFFlash
あみだくじめんたろMonoGame
COOL SCRAMBLE Firenze Defending Force小松菜屋HSP
Dの玉入れ ※1礼門Zアクションエディター4
D言語くんの輪goboriUnity
FLAPPY SHOOTERKenmoHaxeFlixel
大玉ころがしHAYANAC++
BAR JUMPER ※2k-なっとうVC++
組体操hizJavaScript
メモリ間違い探しD.KHSP
OneWayRPGkenmoHaxeFlixel
準備体操D.KD言語
玉入れD.KD言語
TheBlackExpensiveCarUnity
パンくいふくろとびきょうそうBLASTERBURNUnity
うんどう ※2バブルマンHSP
D言語くんDogeボールよもぎまるD言語
MANHOLE the JUDGEMENT戸塚伎一Scratch

各作品名のリンク先は、ダウンロードページまたはブラウザゲーム公開ページです。
※1 「東方猫場撃」のモードのひとつです
※2 動作環境が不安定などの理由により、当日は競技種目としてプレイされませんでした。

プログラマさんたちとの対話・そして……


1チーム5人、計5チームで競われた対抗戦では、私が所属するチームが総合優勝をおさめ、記念品として北海道熊出没注意ラーメンをいただきました。運動会終了後は、競技で使われたり使われなかったりしたゲームをおのおの自由に遊んだり、参加者のひとりが私物のデスクトップPC(!)とともに持参した、HTC VIVEによるVR体験会が行われたりと、まったりとした時間が流れました。

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前項のゲーム一覧にある通り、今回も私は、Scratchで自作したゲームを持ち込みました。プロジェクトの新規作成の頃からずっと見守り、手塩にかけて育ててきたゲームを、目の前で多くの方にプレイしていただくシチュエーションは、何度味わっても格別です。

もし「Scratchで作ったゲームなんて、現役のゲームプログラマさんたちがまともに取り合うわけがない」と卑下していたら、こんな体験をすることなく、Scratch専用のSNSページで作品をひっそり公開して、それっきりになっていたでしょう。たまには厚顔無恥……もとい、ささやかなチャレンジ精神を奮い立たせてみるのもいいものだなぁと、改めて思いました。

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今回参加したプログラマさんたちと雑談……というかゲームプログラムに関するお話をしたところ、何人かの方は、イベント開始時間の24時間以内に、急いでゲームを作ってきたとのこと。遠方在住のめんたろ氏もそのひとりで、「せっかくこういう場に来るんだったら、(じっくり作る時間はなくても)みんなで楽しめるものを何か作っていきたい」と言っていました。その心意気は理解できるのですが、それで実際に1日足らずでゲームを作ってしまえるところが、やはりプロフェッショナルです。

聞けば、ゲームプログラマは、”ライブラリ”という汎用性の高いプログラムのストックを持っていて、必要なときにそれらを取り出し、組み合わせているのだそうです。今回のようなレクリエーション系イベント用のミニゲームを作る際には、まさにそれらの出番とのことで、”プロの賄い料理”という、前回記事での例えは、案外、本質を突いていたのかもしれません。

皆さんが、プログラミング素人丸出しの質問にも気前よく答えてくれたことで調子に乗った私は、「Scratchからステップアップするには、どの開発環境がいいでしょうか?」とたずねてみました。

プログラミング言語の構文を覚えられない(覚える気がない?)私でも、作りたいと思うゲームが作れてしまうScratchは、ゲーム作りの道具としてはベストの存在です。その一方で、Flash対応のWebブラウザ上でないと遊べないなど、ゲームの公開・配布手段が限定されていることに、物足りなさを感じているのも事実です。

「Scratchであれだけのゲームが作れるんだから、何でもできますよ!」という嬉しいお言葉をいただいたのですが、簡単そうな言語の教本を買っては、人間以外の動物でもわかるはずの説明を理解できず挫折……をここ5年ほど繰り返している身だけに、文字通り受け取れません。「初期設定の説明が延々と続いて……やっと出てくるのが”Hello World”とか”円を描く”みたいな命令の説明だと、ちっとも頭に入らなくて……」と、教本にたいするゲーム脳丸出しの感想を吐露すると、事の深刻さ(?)を察したプログラマさん数名が、ならばと以下の2つの開発環境を提案してくれました。

■おすすめ1:HSP


今回の自作ゲーム大運動会に持ち寄られたゲームの開発にも使用されていた、スクリプト言語システムです。エディタでスクリプト(プログラム)を入力するタイプですが、私が『プチコン3号 SMILE BASIC(※ニンテンドー3DS用BASICプログラミング環境ソフト)』さえモノにできていないことをカミングアウトした上でのおススメなので、本格的に簡単なのでしょう。使用料はフリーウェアとしての開発・公開であれば無料、作ったソフトをマルチプラットフォームに配布可能、子供にも扱えるよう開発された国内メーカー製システムということで初心者向け情報も充実……と、周辺事情もいい感じ。これで無理だったら、悲しい意味で”本物”ですね。

■おすすめ2:GameMaker


2Dアクションゲームの開発に特化した、海外メーカー製のゲーム開発ツールです。コードを書くことなく、ゲームを構成するさまざまな要素をドラッグ&ドロップで組み立てられるとのことで、使用感はフォトレタッチツールに近いかもしれません。情報ソースが基本的に英語、簡単操作の背後でC言語ベースのプログラミング環境が待ち構えている……など、穏やかでない要素はいくつかありますが、先日コンシューマ版もリリースされた気鋭のインディーゲーム『DOWNWELL』もGameMaker製ということで、ロマンだけは無闇に感じます(笑)。プログラマさんも、自分たちとは文脈が異なる業種の人々が、独創的なゲームを生み出すツールとして、注目しているようでした。

学習方法に関しては、教本を頭から読むより「◎◎◎(プログラム言語名)/初心者/講座」みたいなキーワードでネット検索し、たどり着いたサイトにあるプログラムを入力してとりあえず動かし、詰まった時に必要な情報を教本で探す……といった手順の方が覚えやすいとのことでした(過去にその方法でやってみてうまくいかなかったことは、さすがに恥ずかしいので黙っていました)。今後、新たな開発環境に軽快に乗り出せるか、はたまた、泣きながらScratchに出戻るかはわかりませんが、こういう紆余曲折を含めて、ゲーム作りの醍醐味なのでしょう。

とはいえ、人生の折り返し地点をとっくに回った身の上としては、本当にやっておきたいことにピタっと焦点をあてたいもの。次回の自作ゲーム大運動会開催の発表(来年以降?)までには、何らかの方針を立てたいです。

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