レトロゲームがフリープレイな企画展
2015年10月3日から埼玉・SKIPシティ(埼玉県川口市)で行われている、県主催の企画展「あそぶ! ゲーム展」。
副題が「ステージ1:デジタルゲームの夜明け」ということで、テレビゲーム黎明期のタイトルから、1982年くらいまでのアーケードゲームが、2016年2月28日(日)まで展示されています。
10月の祝日に時間が空いたので、ひとりで行ってきました。
住まいから現地までは、自転車で30分弱。
遠方から公共交通機関を乗り継いで行こうとすると、なかなか面倒な立地ではありますが(アクセス情報はこちら)、昭和末期の小学生にとっては、「話題の新作ゲームを入荷した、ふたつ隣町のゲーセンに遠征する気持ち」が蘇る、絶妙な距離感でした。
何が展示されているか、とか、見どころはどこか、といった情報は、すでにネット上にしっかりとした記事として、いっぱい存在します。

この記事では、それらをなぞることはしません。
かわりに、「たまたまだったけど、世間の休日に行って本当に良かった」という感想を、つらつらと綴っていきます。
あの時、あの場所の自分との邂逅
“遊べる”からには、ひとつひとつのタイトルをじっくりプレイしたい。
となると、できるだけ空いている平日、その午前中に行くのが狙い目!!
おっさんゲーマー的には、ノリでそう断言したくなります。
たしかに、ゲーム史における希少度が高いタイトルや、昔懐かしのアーケードタイトルを筐体専用コンパネで遊べる……という、マニアックまたはアカデミックな好奇心をくすぐるバリューは、あります。
常設の映像ミュージアムついでに寄った風の親子連れや、感性が鋭そうなカップルでひしめく日時にノコノコと出向いた私は、そのあたりを十分に享受できなかったにもかかわらず、途中退場を挟まず約2時間、展示スペースに入り浸れました。
一定の薄暗さがキープされ、あちこちでCRTディスプレイの灯りが浮かび上がる場内は、1980年代初頭までのゲームセンターのムード満点。
さらに、同時来場者が多いと、あちこちの筐体からプレイ中の電子音が鳴り響くことになり、当時の活況を疑似体験できるメリットも。
このような展示スタイルを採用した企画・運営の皆様に、心から敬意を払います。
あとこれは、団塊ジュニア(1970年代前半生まれ)ならではかもしれませんが、場内でゲームに興じる子供たちの後ろ姿に、ワクワク・ドキドキしながらゲームセンターに行っていた“当時の自分”が、重なりました。
親世代だってどうだかあやしいのに、スマホやYouTubeがデフォルトのデジタルネイティブが、大昔のゲームに興味を持つわけがない──そんな先入観は、来場してから数分で霧消しました。
おそらく、8歳からプラスマイナス2歳くらいの子供たちにとって、当時のアーケードゲームがかもし出す
「オトナ向けともコドモ向けともいえない、妙な感じ」
は、何か惹かれるものがあるのかもしれません。
そんな彼らと同じ時間、同じ空間を共有できたことで、テレビゲーム好きでずっときた自身の“原点”に、立ち戻れた気がしました。
童心に返りつつ、大人の節度を守りつつ
自分の番がきてプレイしていると、子供やお母さんの「すげー」「うまいね」という声が背後から聞こえるのも、日・祝日ならではの現象。
『スペースインベーダー』でUFOを確実に撃ち落とせる、『ドンキーコング』をノーミス1周クリアできる程度の腕前がある方なら、ちょっといい気分になれます。
上手過ぎて延々プレイし続けると、誰も近寄れなくなってしまうので、ほどよい引き際も肝要ですが。
お父さんがまず“お手本”を見せてから、続けて子供がプレイ、という親子連れの姿も、よく見かけました。
テレビゲームが、親子共通のコミュニケーションツールとして余裕で機能する時代であることを再認識しつつ、自分も両親とこんな風にゲームで遊びたかった……という、はるか彼方に置いてきたはずの、ほろ苦い気持ちが蘇りました。
そういうわけで、多感な時期をテレビゲームとともに過ごした、そこそこ年齢がいっている方は、人でにぎわう「あそぶ! ゲーム展」に行き、その空気を肌で感じることで得られるものが、いっぱいあると思います。
間違えて、心の中のパンドラの箱が開いてしまったって、いいじゃないですか。
最後には“希望”が残るはずなので(聞きかじり)。
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