『INFINOS外伝』Steam配信開始記念・九十九百太郎氏(サウンド担当)インタビュー
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『INFINOS外伝』Steam配信開始記念・九十九百太郎氏(サウンド担当)インタビュー

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入魂のサウンド誕生の背景に迫ってみました

2018.1.9よりゲームショップBEEPでのパッケージ版(税込2160円)の委託販売が始まり、オールドスクールのシューティングゲームファンを中心に好評を博している、ピコリンネソフトの最新作『INFINOS外伝 閃光の解放者(以下、INFINOS外伝)』。

 

2018.1.20からはSteamストアでダウンロード版(税込1080円)の販売が始まり、さらなる層に広がりをみせることでしょう。

『INFINOS外伝』の“全世界デビュー”を記念して、今回は同作のBGMを担当したサウンドクリエイター・九十九百太郎(つくもひゃくたろう)氏に、サウンド面を中心にいろいろとうかがってみました。ファン必見です!

 

※文中に登場するオールドゲーム関連用語の補足を極力減らしているため、本インタビューを読むには一定以上の“おっさんゲーマー力”が必要となることをご了承下さい。

 

こだわりの積み重ねが“仮想ゲーム史”のオーパーツ化した結果……

──九十九さんがピコリンネソフトさんの作品にサウンドを提供するのは『BATTLE CRUST』(2016年)に続いて2タイトル目ですが、当初はどのように話が進んだのでしょうか?

九十九 けっこう自然な流れでしたね。『BATTLE CRUST』の開発が終わってRYOさん(ピコリンネソフトのゲーム開発者のひとり)からさっそく開発中の次回作のスクリーンショットが送られてきました。「いままでは“アイレム系”だったけど今後はSNK……『ラストリゾート』か!?」というのが第一印象(笑)。

──では今回もとなって、どのようなサウンド・コンセプトを立てたのでしょうか?

九十九 『BATTLE CRUST』では“FM音源+低サンプリングレートのPCM”という音源構成のハードを想定して、実際その通りに作りました。『INFINOS外伝』に関してはもう少しハイスペックなNEOGEO(※SNKが1990年にリリースした家庭用ゲーム機&アーケードゲームシステム)あたりを当初はイメージしていたのですが、開発のバージョンが進むにつれてゲームのクオリティがそれどころじゃなくなってきたので、最終的には初代プレイステーションやセガサターンになりました。

──RYOさんの手打ちのドット絵が、九十九さんの想定ハードを一世代超えてしまった!?

九十九 それまでのピコリンネソフトのシューティングは、1画面中に発射できる弾数が2~3発程度だった“昔のシューティングゲームらしさ”を再現していたのですが、『INFINOS外伝』ではそこがだいぶ緩和されて操作感も軽快になり、今風のプレイバランスに近づいたっていうのもありますね。

 

シリーズ作であることを尊重しつつ新境地を開拓したサウンド世界

──想定ハードが“32ビット次世代機”になったということは、実質、サウンド面での縛りがなくなったということですよね。

九十九 8割がた解除された感じだったので、自由にやらせてもらいました。3面まではわりとオーソドックスに作っているんですけど、4面以降は楽器のパートがどんどん増えていきます。今回初めて試してみた音源もありますね。ちなみに6面の曲は、往年の“九十九節”と呼ばれる系統です。まあ当の本人は何をもって“九十九節”なのか、よくわかっていないのですが(笑)。

──実際に聴いても、非常にノッて作られていた感じが伝わります。

九十九 曲数も、当初は12曲だったのが最終的には17曲に(笑)。

──どうしてそんなに増えたんですか!?

九十九 僕が想定しないくらいにRYOさんががんばったんです。とくに(2017年)9月以降の要素追加ラッシュがすごかったですね。ステージも増えたし、土壇場でゲームモードが増えたり(笑)。RYOさんはBGMを流用することを考えていたようですが、このままじゃボリューム不足かなと思ってこっちから増やすことを提案しました。

──“インディー制作現場あるある”のひとつ、クリエイター同士の意地の張り合いってやつですね。

九十九 追加ステージは製品版の4面なんですけど、これは曲が先にできました。これまで僕が経験してきた開発の手順は絵が先だったので、今回はレアケースですね。

──もはやサウンド担当以上の関わり方ですね。RYOさんからBGMの注文や修正が入ったりはしないのでしょうか?

九十九 基本的には、絵を見て受けた印象で自分だけでサウンド世界を練り込んでいきます。それで実際に動くバージョンに合わせてみると、ステージ内の展開と曲の展開の切り替わりが、ことごとくマッチしているんです。最初から申し合わせていたかのように(笑)。『BATTLE CRUST』の時からそうだったんですけど、僕が想定していた流れと、RYOさんが想定していた流れが合うんですよね。

──“相思相シューティングゲーム愛”だなぁ。今回は特にここにこだわったぞ、という部分は?

九十九 今回は効果音も半分作りました。システム系やレーザーなどの音はRYOさんで、僕は生音系全般を担当しました。『INFINOS 2』をプレイして、効果音がここで鳴らないのは寂しい、というところがいくつか見受けられたので、『INFINOS外伝』では「この場面でこの音が出ないと納得いかないよな」というところをひとつひとつ潰していきました。

──そもそも、九十九さんがピコリンネソフトさんのシューティングゲームのサウンドを手がけるきっかけが、2014年のBitsummitに出展されていた『INFINOS 2』を偶然見かけて気に入ったから……ということで、そのあたりの思い入れは強そうですね。

九十九 もちろん『INFINOS』シリーズは全作プレイしていて、今回のBGM面でも、過去のシリーズ作から引っ張り出しているところもあります。シリーズを通して遊んでいる人はニヤリとする場面が、結構あると思います。いくら自由にできるといっても、シリーズもののBGMをすべて新曲で塗りつぶすのは忍びない。『サンダーフォースV』(テクノソフト)のBGMを担当した時のやり方を今回も踏襲している……ということです。

 

オールドゲーマーのリミッターを解除するゲーム&サウンド体験を!

──ゲーム本編と同時に、サウンドトラック(税込790円)もSteam配信が始まりました。サウンドトラックについても簡単に解説していただければ。

九十九 サントラ用にリマスタリングしたバージョンが収録されています。ゲーム中で聴かせるバージョンは、BGMが効果音の邪魔をしてはいけないし、その逆もまたしかりということで、さまざまな効果音との“音のすみわけ”を考慮したマスタリングにしています。だからサントラに収録するものは、曲単体としてのマスタリングをしないと聴きにくくなってしまうんです。

──かつてお気に入りのゲームのサントラCDを買って「ちょっと違うな……」と感じていた理由が、まさにそこなんですね。

九十九 タイトーがF3システム(※アーケードゲーム用基板)を使っている時なんか、実機から出ている音とサントラに収録された音がまったく違っていましたからね(笑)。オールドゲームのファンの多くの方はそのあたりも体験済みだと思うので、『INFINOS外伝』でもそれを味わっていただければなと。収録時間の関係で断念しましたが、本当だったら効果音のトラックも欲しかった(笑)。

──それでは最後に、Steam配信を機に『INFINOS外伝』をプレイしようと思っているユーザーに向けてひとことお願いします。

九十九 本作に惹かれる人は、オールドゲームを愛する気持ちが強い人が多いと思います。『INFINOS外伝』は、そういった方々の期待に応えている一方で、オールドゲームのさまざまな制約を解除した内容になっています。プレイヤーの皆さんも、ゲームにたいする意識を更新して、このゲームならではの楽しさを存分に体験してください!

──もちろん、サウンド面も含めてですよね?

九十九 僕の曲のファンの中には、いまだに僕がSC-88Pro(※1996年に発売されたRolandの音源モジュール)で曲を作っていると思い込んでいる方もいらっしゃるようなので(笑)、今回を機にぜひ情報を更新していただければと思います。

……実際には話の流れで、さらにとんでもない話(今後の予定)をいろいろと聞いてしまったのですが、今回はひとまずはこのあたりで。90年代シューティング、今後もホットなキーワードになりそうです。

 

■ピコリンネソフト公式サイトはこちら




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